生死 | 山江村松本農園の日々

生死

「われわれは誰でも、息をしているということが、既に奇蹟です。」

友人の仮通夜の席で、牧師さんが仰った。


潮谷聖一郎さんがなくなられた。

48歳の若さで、後には奥様と子供さん三人を残されて、天国へと旅立たれてしまわれた。


就寝中、夜中の突然の心不全による死亡ということで、ご家族は勿論、ご親族、職場の仲間、友人知人、皆が驚愕し、今でも信じられないでいる。

4月4日には告別式が行われた。

今は、聖一郎さんのご冥福を静かにお祈りするばかりである。


生前の聖一郎さんは、内には理想に燃える激しい情熱を溢れんばかりに湛えておられただろうと想像するが、外面は大変穏やかで、いつも笑みを絶やさず、常に周囲の人を幸せにしようと時間をすごしておられた。

出しゃばり過ぎず、飲みすぎず、大言壮語するわけでもなく、いつも静かに自分の務めを果たされていた。


自転車での日本一周、奥さんとのヒマラヤトレッキング、中国研修、そんなことも自然と普通の顔でサラリと成し終えた人。

ちょっと前の、水俣市での水害による災害発生の時は、いち早く現地ボランティア作業にも参加された。


水と生命を守るために、ゴルフ場建設反対を訴えられたこともあります。(ゴルフ場は建設されませんでした。)

自然を愛し、山に登り川に潜り、イノシシを捕り、鰻・鮎を釣り、山芋を掘る名人でもありました。


正義感に溢れ不正を絶対に許さぬ、硬骨の一面があったことも私はよく知っています。


惜しい人間を亡くしました。悔やんでも悔やみきれません。惜しい人間を亡くしました。


これからの私の人生の色々な場面で、「彼ならどのように判断するのだろうか?」と、自分自身に問いかけながら、私は生きていくでしょう。

それが、私の心の中に彼が存在するということだと信じます。


これまでのご好誼に対し、心から感謝いたします。本当にありがとうございました。


息をしているということが、既に奇蹟です。