くまがわウインドアンサンブル
人吉球磨地域には社会人のための、社会人によって作られた、ブラスバンドの集まりがある。
中高生、大学生時代にブラスバンドの演奏をを経験した人は結構いるが、社会人になった途端演奏する場をなくし、再度始めたくてもどこでするすべも無く、かといってピアノやヴァイオリンと異なり、1人2人ではあのブラスバンドの迫力を到底表現できるものではなく、悶々としている人が多かったようだ。
そんな時、人吉・球磨に救世主が現れた。学生時代、ブラスバンドの全国大学連盟会長をしていた「U氏」が人吉に帰ってきており、その彼が一大奮起、社会人を対象にしたブラスバンド部を結成した。
今から12年前のことである。
そんな思いが詰まったブラスの練習場に、10年以上前から我が農場、ケニアハウスを週に一回、使ってもらっている。夏は蚊が多く冬は寒すぎる場所だが、年間殆ど休むことなく、熱心に練習に明け暮れる姿には全く頭が下がる思いである。
そして年に一度、定期演奏会が行われる。
今日がその第12回目の定期演奏会であった。練習場所を提供している関係で、いつも招待状をいただき聴きに行っている。もちろん気持ちだけではあるがお祝いを持ってである。
正直な所、初期の頃はハラハラドキドキして聴くことが多かったが、回を重ねるごとに安心して聞けるようになったようにおもえる。素人が生意気な感想を、と怒られそうだが、素人だからこそ単純に、「うまくなったな」、と感じるのである。ちなみに本日のプログラムは以下の通りであった。
Part1 は British Symphony 祝典のためのファンファーレ、カンタベリー・コラール、イギリス民謡組曲、「オペラ座の怪人」メドレー、ロンドン組曲より「ナイツブリッジ行進曲」
Part2 は 人吉アニメ村、 名探偵コナンやサザエさん、ドラえもん、まんが日本昔話、ルパン三世等、子供たちが喜ぶ曲が演奏された。
アンコールに応えて、アニメ16曲メドレーというビックリ曲もあった。
今回は初めてお楽しみ抽選会があり、3名の方のみに豪華賞品が当たった。その中の1枚が手持ちの番号と1番違いではずれ、残念であった。
日頃からなかなか音楽を聞きに行くことが無いので、年に一度このような機会を与えていただき、感謝している。
思えば人吉球磨地方は、九州山地の山々にすっぽりと囲まれた人吉盆地に位置している。
今でこそ高速道路の九州自動車道が通り、JR鉄道肥薩線にも特急が走るようにはなったが、昔は浄瑠璃にも「落ち往く先は九州相良」と謡われ、鳥も通わぬ、陸の孤島そのままの僻遠の地であった。
山の谷間は、文化や政治や経済や電波の谷間でもある。
一部の人たちは外の世界にも目を向け、外部の文化の取り入れに熱心であっただろうけど、地域全体が進取性に富むという地域ではなかったように思われる。
その中で、独特の文化を醸成してきたのであろう。
都会ならば、毎日色んなジャンルの音楽会・演劇・展覧会・・・・・・などが催されるだろうが、ここでは、そのような機会は数少ない。
くまがわウインドアンサンブルのような文化団体活動が、末永く続くことを願っている。
団員各位のご尽力に、心から感謝したい。
ありがとうございました。